Lesson3-5 子どもの人権110番

前回のLessonでは、子どもの権利を守るために国際的に定められた様々な議定書について学習しました。

今回のLessonでは、日本国内で整備されている「子どもの人権110番」について見ていきたいと思います。

子どもの人権110番とは?

日々新しいことに接している子どもは、多くのストレスも感じています。

特に思春期を迎えている中学生などは、学校でも家庭でも「うまくいかない」ことがたくさん起こり、かつ心的な傷を負いやすい時期でもあります。

そんな時に相談できるのが「子ども110番」であり、それぞれの地域ごとに定められた法務局・地方法務局が子どもを守るための相談を受け付けています。

電話に出るのは法務局職員又は人権擁護委員で、優しく包み込むような対応をしてくれます。

子どもの人権110番で相談できる内容

法務局は「気軽に利用してほしい」と、ホームページ上でもわかりやすくカテゴリを分類し、相談例を取り上げています。

「秘密は絶対守ります」
「どんなことでも一緒に考えます」
「嫌になったら連絡が途絶えてもいいです」
という相談スタンスでいますが、その利用率などは公表されていません。

相談できる内容は、いじめ、仲間はずれ、男女交際などの友達関係から、
「学校に行きたくない」などの学校にまつわること、
また両親の離婚や兄弟姉妹とのトラブルなどの家庭環境のことも相談できます。

加えて、万引きを繰り返して辞められなくなっていたり、
インターネット上で知り合った大人と出会うことで起こしてしまった
少年事件なども対象となっています。

子どもの人権110番の事例

学校におけるいじめ事案

同じクラスの同級生から、無視されたりするなどの「いじめ」を受けているにもかかわらず、学校側が必要な措置を講じなかったケース。

被害を受けている生徒は、
自分で自分を傷つける「自傷行為」を行うようになっており
親から通報を受けた法務局が介入し保護者と学校側ですぐに話し合いが行われました。

結果として、保護者と学校側との間で生じていた、事の重大さの誤解が解け、先生の対応で「いじめ」も解消され、被害生徒は毎日通学できるようになりました。

母親の子に対する虐待

子どもから「母親から暴力や暴言を受けている」と通報があったケース。

通報のあった法務局は、親へは認知されないようにこっそりと被害生徒から事情を詳しく聴取し、被害生徒が虐待を受けている疑いが非常に強いことが判明しました。

法務局はすぐに、被害生徒が在籍する学校に対し情報提供を行った上で被害生徒の見守りを依頼。
その日のうちに被害生徒に対する見守り体制が構築されるというスピード感を持った対応が行われました。

まとめ

Lesson3では「子どもの人権」というテーマで学習を行ってきました。

まだまだ自分で自分の身を守ることが難しい子どもに対しては、
国連が世界に向けてルールを策定し、
国が子どもを守るという明確な使命感のもとに運用がなされています。

子ども110番という子どもが相談できる窓口も日本全国にいくつもあるため、「悩んだら抱え込まない」という意識を持ってもらうことも大切ですね。

続くLesson4では「子どもの発達」というテーマで、発達の4段階について学習していきたいと思います。