Lesson5-1 「自立」を育む

今回のLesson5では、モンテッソーリ教育を受けた子どもたちが、
どのような力を育みどんな大人になっていくのかを学習していきます。

子どもの持つ様々な「本来の素養」が育つとされているモンテッソーリ教育ですが、この章では「自立」という面に注目して学習しましょう。

自分で考える力が養われる

抽象的な一面でありながら、モンテッソーリ教育で育つ最も大事な側面は
「自分で考える力が養われる」という事です。

女性医師のモンテッソーリは、自分自身が経験した「精神病棟での子どもの振る舞い」を踏まえて、科学的な視点から子どもを観察しました。

その結果として「子どもは生まれつき、自分自身を成長させる力を備えている」と考えており、それを大人が最低限の介入で助けるための方法として考案されたのが「教具」です。

教具は、子どもの発達段階と興味に合わせて作られていて、かつ自分で選ぶようになっており、四角いピンク色のブロックを組み合わせて数字や大きさを学ぶ「ピンクタワー」はその代表例です。

これらの教具を「どのように使うか」は子どもに大きく委ねられており、
一つの教具からは様々な学びができるように設計されています。

また、モンテッソーリ教育を行っている保育園などの特徴の一つには
「子どものスペースとは思えないほど整理整頓されて教具が置かれている」という特徴があります。

教具を使用して遊ぶだけではなく、後片付けやものの整理整頓の重要さをも早い段階から同時に学べるモンテッソーリ教育。

こうして育てられた「自立」の力は、色々なことが自分一人でできるといった能力の発達はもちろん、「自分で考える」「自分で選ぶ」力を大きく育てます。

「自分で選ぶ」も立派な自立

自立とは「与えられた物事をひとりで解決できる」事だけを指しているわけではありません。

世の中にあるたくさんの選択肢の中から「自分で選ぶ」事も立派な自立です。

自分から「何が食べたい」という事を発言できたり、
お店で「これが欲しい」とおねだりをする事もただのわがままではなく、
実は自立の一部として捉えられます。

モンテッソーリ教育では、子どもは自分の好きな教具で自由に遊んで良い
という時間が与えられています。

この「自由」が、子どもたちの「自立」を育てる大きな役割を担っているのです。

0歳から「選ばせる」ことが大切

この「自立」のキーワードは、0歳からでもモンテッソーリ教育に取り入れることができます。

例えば、ぬいぐるみとボールの2つのおもちゃがあるとき、
その2つをあえてどちらか選ばせるように置いておくことで、
幼いながらも「どちらで遊ぼうかな」という選択をする経験が生まれます。

常に「選択肢」を与えてあげることで、自分の中で比較するという概念が育っていき、自立につながるのです。

続いてのLessonでは、モンテッソーリ教育で育まれる力のうち「集中力」に注目して解説していきます。