Lesson5-2 「集中力」を育む

前回のLessonでは、モンテッソーリ教育で育まれる力のうち「自立」についての項目を学習していきました。

今回のLessonでは、子どもが夢中になる事で養われる「集中力」について解説します。

「夢中になって取り組む」環境を整える

モンテッソーリは、幼年期である0~6歳の子どもは、成長の段階の中で、特定の時期に特定の物事に対して興味を持つことを発見しました。 

後に「敏感期」と呼ばれるその時期は、「言語」や「数字」などの事柄について、子どもが興味を持つベストなタイミングがあるという事を示しています。

なお「敏感期」については、Lesson2で詳しく解説しておりますのでぜひ参考にしてみてください。

そして、それぞれの敏感期に子どもが強い興味を持つ活動を、子どもの成長にとって大事なことという意味を込めて「仕事」と呼んでいます。

 モンテッソーリ教育ではこの「仕事」を「子どものペースで心ゆくまでやる」ということを大切にしています。

あえて時間割のような区切りを作らず「自由な」時間をたくさん作る事で、
子どもの集中力を邪魔せず限界まで引き出すという工夫がなされているのです。

集中することを「楽しい」と気づかせる

「集中力」と言っても、子どもが一生懸命「何かを達成する事」というよりも「集中している状態」それ自体が楽しいという事に気づかせる事も大切です。

参考として、アメリカの心理学者ミハイが提唱した「フロー理論」では、
「夢中になって、我を忘れて、何かに取り組んでいる状態」を「フロー状態」
と表現しています。

このフロー状態に入ると、通常では発揮できないような高いパフォーマンスがいとも簡単に達成できることが検証されています。

加えて、また、その状態に入っているときは、高いレベルの「幸福感」や「高揚感」に包まれると言われています。

確かに自分の人生を振り返ってみても、思いっきり部活をしていたり、テストでいい点数を取ろうと頑張って勉強しているときは、なんとも言えない充実感や楽しさを感じたことがありました。

モンテッソーリ教育は、この「フロー状態」を重要な時間だと捉え、
子ども達に極限の集中を体験させることのできる環境を整えています。

幼年期に「集中することの楽しさ」をたくさん体験する事は、
学校に行ったり社会人になって仕事をしたりしても、集中力を発揮して
成果を出すことにつながると言えそうです。

悩んでつまづいている時こそ、とても集中している

子どもが取り組んでいるお仕事が一見「うまくいっていない」ように見えたとき、実はとてつもない集中力が脳内で発揮されています。

子どもは目の前の事柄をどう解決しようか、頭をフル回転させているのです。

「もう諦めてしまおう」という気持ちが片隅にありながら、何とか続けているその状態こそがフロー状態に近くなっているのです。

うまくいっていない時こそ、脳が活性化しているので、助けを求めてくるまでは話しかけないようにしましょう。

続いての章では、モンテッソーリ教育の特徴である「縦割り教育」によるコミュニケーション能力の向上について解説していきたいと思います。