前回のLessonでは、モンテッソーリ教育によって育まれる集中力について解説しました。
今回のLessonでは、モンテッソーリ教育の特徴である「学年がバラバラの縦割り教育」によって育まれるコミュニケーション能力について学習していきましょう。
モンテッソーリ教育は「縦割り教育」

皆さんは教育の形態の中で「縦割り教育」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
一般的には、学校のクラスは「学年」で区切られており、子どもたちは同じ年齢のクラスの中で学業を営んでいくことが普通です。
しかしながら、モンテッソーリ教育においてはこのような「横割り」のクラスではなく、様々な年齢の子どもがクラスに共存している「縦割り」の集団になっていることが非常に多いとされています。。
保育園だと3歳までの低年齢クラスでは細かく分けている場合も多いですが、3歳~6歳のクラス割りは縦割りが基本です。
これは、教具や仕事を、それぞれの子どもが自分自身の「敏感期」に基づいて選べるように、年齢で細かく区切らないようにしているからだそうです。
もう少し言えば、子どもに訪れる「敏感期」は、それぞれの子どもによって多少異なることが理由になっています。
明確に集団を年齢で区切ってしまうのではなく、子どもの発達に応じて自由に教具が選べるようにするため、「この年齢ではこれをする」といったまとまりのクラスでない方が成長を促進できると考えられているのです。
縦割り教育で育まれる力

縦割り教育では、横割り教育と比べて「先輩・後輩」といった年齢を超えたコミュニケーションの概念がいち早く身につきます。
「先輩」の子どもは、「後輩」の子どもができない事を教えてあげたり、
逆に「後輩」の子どもは、年齢の近いお兄ちゃんのような存在である
「先輩」とうまく関わり合いながら物事を解決していくといった相互成長が見込めるのです。
クラスの「掃除」などでも、年長である子どもが自ずとリーダーシップを取ることで、大人が指示しなくても、子ども達同士でコミュニケーションを取りながら掃除をするといった保育園が多くなっています。
子どもであっても、誰かに頼られる事で初めて芽生える責任感があります。
年長の子どもはこの「責任感」を早い段階で覚えて、次のステージへと進んでいくのです。
縦割り教育で注意しなければならない点

縦割り教育は、社会で重要視されている上下関係のコミュニケーションを
一早い段階で覚えることができる一方で、少しだけ気をつけなければならない
点も存在しています。
それは「周囲からの孤立をしてしまう可能性がある」ということです。
モンテッソーリ教育はいわば「自由を尊重し、自立を促す」教育であるため、
周囲との協調性を優先する場面はそれほど多くはありません。
しかし、合わせるべきところは合わせるよう家庭内や公共施設などの場所での教育を親がしっかりと行ってあげることで、解決できるでしょう。
続いてのLessonでは、モンテッソーリ教育を受ける事で「情緒」が安定することについて解説していきます。