Lesson5-4 「情緒の安定」ができる

前回のLessonでは、モンテッソーリ教育で多く取り入れられている縦割り教育で育まれるコミュニケーションや気をつけなければならない点について学習しました。

今回のLessonでは、モンテッソーリ教育で情緒が安定する、という効果について解説していきます。

「子どもの情緒の安定は大切」というモンテッソーリの気づき

マリア・モンテッソーリは、知的障害児という言葉は健常児と比べて、
何か異なる種類の人間を意味する言葉でも、また病気を意味するものでもなかったとしています。

そこにはただ単に、子どもの精神が自らを実現するのを妨げる「何らかの発達の混乱」があり、情緒的にも不安定である子ども達をいかに安定させるかを重視してモンテッソーリ教育を作り上げたとされています。

そのため、モンテッソーリ教育においては、可能な限り子どもにストレスを溜めずに教育環境を整えるという設計がなされているのです。

「自由」がもたらす情緒の幸福

モンテッソーリ教育で育まれる力は、ある特定の能力を引き出すということのみではありません。

実は「自由に集中をさせてあげる」という事は、情緒を安定させることにも大きく寄与しているのです。

モンテッソーリ教育の方針では、子どもが何かに集中して取り組んでいる間は
大人はその作業を邪魔することなく見守ります。

そして、子どもが自ら助けを求めてきた場合に
指針を教えてあげるという事が基本です。

子どもは自分の作業を妨げられずに達成できると、
「自分のペースで、自分の力で達成した」という成功体験が
情緒の安定にも繋がるのです。

「我慢」のストレスは思ったよりも大きい

何かを「我慢」することは、それだけで集中力を削ぎ、
大きなストレスを子どもに与えてしまう事が判明しています。

例えば、子どもを2組のグループに分け、一方の組にはテーブルの上に置いてあるチョコチップクッキーを食べることを我慢しながら問題を解かせ、もう1組にはクッキーを食べながら問題を解かせるという実験があります。

この実験では、クッキーを食べながら問題を解いた子どもの方が
集中して取り組んでいる時間が長かったという結果が示されています。

言い換えれば、「我慢をしながら何かに取り組む」ということは、
特に子どもにおいては非常に困難であるということを示しています。

モンテッソーリ教育では子どもが作業に苦戦していても、
代わりにやってあげることはしません。

あくまでも子どもの自発的な成長をサポートすることで、子どもはやりたいことを思う存分にでき、達成感を感じます。こうして心に落ち着きが生まれ、情緒を安定させることができるのです。

これまではモンテッソーリ教育によってプラスに育まれる力を学習しましたが、
続いてのLesson5の最後には、モンテッソーリ教育の「リスク」についても
簡単に解説していきます。