前回のLessonでは、熱心な探求家である子どもの特徴や特性について見ていきました。
今回のLessonでは、「敏感期」と呼ばれる、子どもの成長にとって大切な時期について学習していきたいと思います。
まずは、「敏感期」とはどのようなものであるかについて見ていきましょう。
「敏感期」は成長の大切な時期

敏感期とは、子どもが身の回りの出来事に強い興味を持ち、集中力をふんだんに活用して実践を繰り返す時期のことを指します。
敏感期は運動や言語、数など、ある特定の能力を伸ばすための時期がおおよそ定まっています。
その時期を親が理解していないと、子どもにとって大切な成長の時期にした「イタズラ」を叱って辞めさせてしまうなどの事が起こりかねません。
例えば、壁に落書きをしたり大切な書類を破いてしまったり。歯ブラシをボロボロにしてしまったりティッシュを全て使い切ってしまったり。
一見不可解なこれらの行動の中には「指を使ってみたい」「文字を書きたい」などの衝動が込められているのです。
加えてこの敏感期には、とにかく「繰り返し」が大好きになるといった習性があります。
敏感期では「繰り返し」が大好きに!

この敏感期では、子どもはまるで神様から宿題を与えられたかのように特定の物事を集中して繰り返します。
大人から見ると、一見「ずっと同じことを繰り返していて飽きないのかな?」と感じるような行動でも、子どもにとっては楽しくてたまらない状態が敏感期です。
例えば、手を動かすことに楽しみを覚えた子どもは「ヒモを結ぶ」というトレーニングで何時間とヒモを結び続け、玉を作っていくことが楽しくてたまらなくなるのです。
それでは、これらのような特性がある「敏感期」には、一体どのような種類があるのかを具体的に見ていくことにしましょう。
秩序の敏感期

生まれたての子どもは、身の回りで起こる全ての事柄を新鮮な「秩序」として吸収していきます。
何が当たり前で、何が起こると普段と違って危険なのか、まだ判断がついていない中で「いつもと同じ」ことに強烈な安心感を覚えています。
これが「秩序の敏感期」と呼ばれる時期で、0歳〜1歳の間に訪れるとされています。
この時期では「いつもと違う」事が起こると強い恐怖を覚えて泣き出すといった行動が見られます。
「原因がわからないけれど、急に赤ちゃんが泣き出してしまった」という時には、「何かいつもと違う事をしてしまっていないかな?」と気にしてみると良いでしょう。
例えば、親戚に赤ちゃんを抱っこさせてみたり、布団を新しくしてみたり、哺乳瓶を取り替えた時などは要注意で気にしてみると良いでしょう。
言語の敏感期

赤ちゃんの聴覚は、およそ妊娠7ヶ月頃から発達していると言われています。
生まれてから3歳くらいまでは、赤ちゃんは聞こえてくる情報や見えている情報を、全てを吸収し自分の記憶に焼き付けています。これを「無意識的記憶」と言います。
そんな素晴らしい能力を保有しているため、この時期には「たくさん話しかけてあげる」事が大切になってきます。
話しかけるときは「口元をよく見せて、ゆっくり、普段よりも高めで聞き取りやすい声」で話しかけてあげると良いでしょう。
言語の敏感期は3歳までと3歳からの2回訪れるとされているのですが、「無意識的記憶」が関連しているのはこの3歳までの期間になります。
運動の敏感期

6歳までの期間の中で、運動の敏感期は2回訪れます。力任せに、がむしゃらに走り回ったり手を動かしたりといった時期が3歳までに訪れる運動の敏感期になります。
この時期においては、とにかく「一つのことに集中して手足を動かす」という事が楽しくてたまらなくなります。
ハイハイから歩くまでになるように体幹が鍛えられるのもこの時期。
大人は無理にベビーカーに乗せたり助けたりせずに、出来るだけ子ども一人でできる事を増やしていくようにサポートしてあげると良いでしょう。
0~3歳までの敏感期は「力いっぱい」

このLessonでは0歳〜3歳までに注目していましたが、敏感期はまだまだ続きます。
3歳までに訪れる敏感期の特徴は、「とにかく手を動かしたい」などの衝動が生まれた時、何も考えずに思いっきりその衝動に従って手足を動かす事です。
3歳を超えた時期からは、強い衝動をうまくコントロールして、社会的に貢献したいと言う想いが徐々に生まれてきます。
次のLessonでは、3歳〜6歳の敏感期「後期」についてみていく事にしましょう。