前回のLessonでは、3歳までに訪れる敏感期について学びました。
今回のLessonでは、3歳から6歳までに訪れる敏感期とその特徴について学習していきましょう。
まずは「運動の敏感期」ですが、3歳までに訪れる運動の敏感期とは少し性質が異なります。
運動の敏感期

前章で紹介した運動の敏感期に加えて、3歳を過ぎた頃から、今まで以上に自分の能力をコントロールしようとする敏感期が訪れます。
力任せに走り回っていた3歳までとは対照的に、その動きを「力加減」により調節しようと試みます。これが第2の運動の敏感期です。
運動の敏感期では、「日常生活の練習」を通して様々な力加減を学んでいき、自分の力と心のバランスを整える、これが「自立」の始まりの重要な段階となるのです。
歯磨きをする、服のボタンをはめる、靴を履く・・・
これら様々な運動を通して、子どもは「自分でもこんなことができる」「社会の役に立っている」といった自己有用感を学んでいくのです。
感覚の敏感期

3歳までの乳幼児期(前期)では、子どもは見るもの聞くものを「無意識のうちに吸収」していきます。
これに対し3歳以降に訪れる感覚の敏感期では、周りの出来事を「自分自身で意識的に整理し、吸収したい」という衝動を強く感じるようになります。これが感覚の敏感期です。
感覚の敏感期では、2つの物事を同じと感じる「同一性」、2つ以上の物事に順番をつけて並べたりする「比較」、
そして3つ以上の物事のなかで共通する性質を見抜いてグループ分けする「分類」といった段階を通して、論理的思考力を身につけていきます。
言語の敏感期

3歳までに「無意識な音声」として捉えていた言語情報を、「意味を理解した上で自分の言葉として発言してみたい」という感覚が現れます。これが「第2の言語の敏感期」です。
言語の敏感期には、「読む敏感期」と「書く敏感期」があり、それぞれ段階を踏んで読み書きができるようになっていきます。
文字を理解し50音を覚えた上で「書く敏感期」の方が先に訪れ、
「とにかく手を動かしたい」という運動の敏感期と重なり、
「手紙」を書いてみたり、「落書き」が行われるのもこの時期です。
「読む敏感期」では、口の周りの筋肉を盛んに動かすことができるようになるため、「早口言葉」などのゲームも楽しめるようになります。
数の敏感期

4歳半から6歳くらいまでの期間において、子どもは急激に「数を数えたくてしょうがない」「数字を読みたくて仕方がない」という状態が訪れます。
これが「数の敏感期」と呼ばれるものです。
数の敏感期においては、「現物・数詞・数字」の3つの関係を一致させ、理解するということが大切になってきます。
例えば、1から100までの数字を発言できたからといって、
「30と50はどちらの方が大きいかな」という質問や
「8の次に大きい数は何かな」という質問には答えられない、
ということがよくあります。
すぐに足し算や引き算を覚えさせるのではなく、丁寧に数の大小や順番を教えてあげることが大切なのです。
数の敏感期の延長に「科学の敏感期」がある!

モンテッソーリ教育の中では、自主性や自己肯定感を育んだり、日常生活の練習を行うなどの基礎の上の概念として
「自分の生まれた国の文化や地理を理解し、発展させて行く」という基礎を培うことも目的とされています。
その教具として、太陽系の惑星の模型や動物のカードゲームなど、
実際に存在する動物や仕組みに基づいた
知的好奇心を刺激するものも存在しています。
これらの文化教育は、「数の敏感期」において、探究心をくすぐることで育まれ、「科学の敏感期」とも呼ばれます。
子どもが興味を持ち始めたことは、とことん突き詰めて文化を学ぶ場にもさせてあげたいですね。
「敏感期」まとめ

3歳〜6歳までの敏感期においては、これまで以上に「自分の能力をコントロールしたい」という衝動が生じるようになります。
運動の敏感期では力加減を覚え、感覚の敏感期では物事の「比較」ができるようになります。
言語の敏感期では「理解して発言する」ことを覚え、
数の敏感期では数字という概念に触れる。
それぞれの敏感期で
子どもは発達に特化したジャンルの物事を感じながら覚えていくのです。
前回のLessonで紹介した「0歳から3歳までの敏感期」においては、
とにかく「がむしゃら」に手足を動かしたいと言う欲求が
強く訪れると言うことがポイントでした。
0歳〜3歳までと比較して、3歳〜6歳においては
ワンランク上の「コントロール」までできるようになりたいと感じることになるのがポイントです。
さて、続いてのLessonでは、それぞれの敏感期においてどのような事を行ったら良いのか、という実践について学んでいくことにしましょう。